福岡県福岡市中央区地行浜2丁目2−3
ヒルトン福岡シーホーク4F

診療日:火、木、第2・第4日曜日
診療時間:10:00~18:00(受付17:00まで)

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再生医療

「自己脂肪由来幹細胞を用いた慢性疼痛の治療」

慢性疼痛とは

一般的には、3か月以上持続する痛み、もしくは、治癒期間を超えて持続する痛みのことです。

肩こり、腰痛、関節痛、がん、内臓痛など、病気や怪我を原因としておこる侵害受容性疼痛や、神経性の痛みに起因する神経障害性疼痛、また、慢性疼痛は精神的な症状と関連していることがよく知られており、これらの精神的要因がもたらす心理社会的な疼痛があります。

慢性疼痛の弊害

慢性疼痛は、痛みによって行動が制限されることで、趣味のゴルフや長時間の読書がつらい、椅子からの立ち上がりがつらい、身体が痛くてよく眠れないなど様々な弊害があります。

慢性疼痛は、我々がイメージするがん等の重篤な疾患とは違い軽視されがちですが、悪循環に陥りやすく、さらなるQOL(生活の質)の悪化を招き、社会活動性の低下(休職など)、うつ症状(抑うつ)、不安、感情の欠落などを招く場合があります。

慢性疼痛の診断方法

患者様の状態を尋ねる問診、見た目や触診などによって行う診察、採血やレントゲンなどの検査を経て患者様の病態を把握します。

MRIなどが必要と判断される場合には、他の医療機関で一度検査を受けていただく必要があります。

病態に応じて、整形外科や内科などの他の医療機関で事前に検査を受けて頂いている患者様は、診断がスムーズになる場合があります。

痛みの評価

痛みは、患者様の主観的な体験であるため、患者様の容態に合わせた複数のアンケートに答えていただくことで、総合的に状態を判断します。

この評価は、治療後にどの程度患者様ご自身の状態が改善したかを判断頂くための指標にもなりますので、ご協力をお願いいたします。

慢性疼痛の標準治療

現在の標準治療は、薬物療法もしくは痛みの伝達を阻害できる位置に持続的に局所麻酔薬を投与する(いわゆるブロック注射)や投与部位にカテーテルを留置するインターベンショナル治療などが一般的です。

これらは、痛みに対する対処療法的治療がほとんどであり、痛みの原因を改善する治療ではありません。

『自己脂肪由来幹細胞を用いた慢性疼痛の治療』とは

間葉系幹細胞は、脂肪、骨髄、歯髄、臍帯などの間葉系組織に含まれていることが知られています。

中でも、脂肪組織由来の幹細胞は、脂肪組織の採取が容易(患者様の身体的負担が少ない)であり、量も確保できるために再生医療の原材料として注目されています。

脂肪組織由来幹細胞は、様々な種類のサイトカインやエクソソームを放出しており、抗炎症、免疫調整、血管新生、細胞増殖(再生)の効果があることが様々な研究から明らかになっています。

また、脂肪組織由来幹細胞には炎症部位に集まる*ホーミング効果が知られています。

これらの効果から、脂肪組織由来幹細胞を静脈内に投与することで、幹細胞が患部に集まり、痛みの原因となっている炎症を鎮め、損傷した組織の修復に寄与すると考えられます。

脂肪組織由来幹細胞は、慢性疼痛のほかにも、変形性膝関節症、糖尿病、更年期障害、AGA、シワ等の再生医療にも用いられています。

* Giselle et al. Concise review: mesenchymal stem cells: their phenotype, differentiation capacity, immunological features, and potential for homing.

“自己”脂肪由来幹細胞と“同種”脂肪由来幹細胞の違い

 “自己”脂肪由来幹細胞は、自身の体から採取した脂肪組織に含まれる幹細胞です。

 “同種”脂肪由来幹細胞は、同種すなわち他人の脂肪組織に含まれる脂肪幹細胞です。

 日本国内の病院・クリニックでは、一般的に“自己”由来脂肪幹細胞を用いた再生医療が主流です。“同種”脂肪由来幹細胞は、臓器移植と同様で、免疫原性があるためいわゆる「拒絶反応」をおこし、患者様の容態を悪化させる場合があります。

同種羊膜由来幹細胞等、拒絶反応が少ない“同種”幹細胞の研究もおこなわれていますが、“自己”脂肪由来幹細胞よりも「拒絶反応」リスクが高い点には留意が必要です。

再生医療の対象となる方

  • 慢性疼痛と診断され、既存の療法では症状の改善が認められない方
  • 成人で判断能力があり、再生医療の内容を十分にご理解いただき同意いただいた方
  • 問診及び臨床検査(血液検査)の結果、総合的に判断して重篤な機能不全の所見が見られない方

再生医療を受けられない方

  • 疼痛の原因が心因性のみであると疑われる方
  • 重篤な疾患を有する方(ご相談ください)
  • B型、C型肝炎、HIV、ヒトT細胞白血病ウイルス1型、梅毒に罹患している方
  • 妊娠の可能性がある方、あるいは妊娠中、授乳中の方
  • 治療に使用する薬剤に過敏症、アレルギーをお持ちの方
  • その他医師が不適切と判断した方

本治療の予想される不利益

採血時

  • まれに術後感染や、肥厚性瘢痕(傷跡の盛上がり)、傷口からの出血、採取部の内出血、内出血後の皮膚の色素沈着、創部の疼痛・腫脹(はれ)などの合併症を引起こすことがあります。
  • また、切開部位は1 cm程度ですが、傷跡が目立ちやすく長く残る場合があります。

投与時

  • 投与後に頭痛や発熱、まれに嘔吐、注入箇所の腫れなどお警備な副作用、健康被害が報告されていますが、いずれも治癒しており、後遺症が残る可能性があるような重大な副作用、健康被害は報告されていません。

  • 点滴投与後に肺塞栓で死亡した例が過去に国内で一例報告されていますが、幹細胞投与との因果関係は明確ではありません。

  • また、アナフィラキシー反応(急性アレルギー症状)も考えられます。当院では、万が一に備え、救急用品、薬剤等を備えています。

  • その他、細胞加工工程にて、培養中の細胞に細菌感染や携帯以上が見つかった際には培養の中止、培養のやり直しを行う場合があります。その場合は治療を中止したり、投与の予定より治療が遅れることがあります。

治療の流れ

1ヶ月前~8日前
採取日前まで

事前検査(血液検査、評価指標など)
慢性疼痛の問診、診察、診断、同意書の取得

採取日

脂肪組織の採取

採取日~2ヶ月

培養、安全性検査

採取日2ヶ月半後

自己脂肪組織由来幹細胞 約1億個を点滴投与